<< 朗読(3)の台本へ  /  企画サイトに戻る  /  朗読(5)の台本へ >>
台本を利用される場合は、企画サイトトップの『台本を利用される場合』を必ずご一読ください。

台本:朗読(4)血と泥と涙にまみれた少女


♪ 朗読を聞く ♪
朗読:高槻(Liquor and Cigarettes


この島の姫は、歳が11だったが、
両親や家臣達の教育の甲斐もあり、
既にひとりの王族として、立派な女性として育っていた。

そんな姫もこの噂と、全滅していた盗賊達の知らせには
どこか胸騒ぎがしていた。

騎士団の巡視と慰労を口実に、姫は城の外へと繰り出した。
本当に噂は小動物の類の仕業だろうか。
盗賊達がやられたのも、時期が合いすぎていないだろうか。
姫はひとり、情報収集をしてみることにした。

姫は、城での厳しい訓練の甲斐もあり、
剣士としても既に実力十分に成長していた。
しかしながら、姫という立場上、やはり、
あまり遅くまで出歩くのはよくない、
そろそろ城に戻らなければ。
そう思い、夕焼け空の下、
土ぼこりの立つ人気のない街道を
馬で駆けていた姫だったが、
道の脇から生臭い血の臭いをかぎつけて馬を止めた。

血の臭いがする方へと草むらをかきわける。
草むらをかきわけて、かきわけて、かきわけて。
遂に見つけたのは、タヌキでもキツネでもなく。

血と泥にまみれた少女がひとり。

姫は、手をさしのべた。