<< 朗読(8)の台本へ  /  企画サイトに戻る
台本を利用される場合は、企画サイトトップの『台本を利用される場合』を必ずご一読ください。

台本:朗読(9)解き放たれるもの


♪ 朗読を聞く ♪
朗読:Otoha(Amazing Orchestra


暗い地下牢でひとりうずくまる少女。
散々虐げられて育ってきた。
一瞬光を見つけたかと思ったが、
再び闇に突き落とされてしまった。
もう、どこにも光は見当たらない。

牢に放り込まれて、どれだけ経っただろうか。
静かに開く地下牢の扉。
そこに立っていたのは、
自分を助けてくれた人だった。

しばし抱きしめあった後、
姫は少女の頭巾の結び目をそっとほどいた。

血と泥にまみれた頭巾の下は、
そこから光が生まれてくるような、
白銀の髪だった。

人並み外れた足の速さと瞬発力。
いつかの物語で知った、
天を駆ける白馬のような髪の色。

あなたは、まるで翼を持っているようね。

そうつぶやきながら、姫は、異国の少女に、
この島での名前を与えた。

少女の名前は――。